王子様の甘い誘惑【完】
それは多分、この家にいるのが自分ひとりだけだから。


こんな気持ちになるなら、一人部屋なんていらないよ。



「……寂しいなぁ……」


玄関からリビングに移動して、ふかふかのソファに腰掛ける。


誰かと話をしたいのに、部屋の中はシーンっと静まり返っている。


サヤに電話をしようと思い立って携帯を取り出しても、ボタンを押すことが出来ない。


あぁ、そっか。今、気付いたよ。


誰かと話がしたいんじゃない。


あたしは、蓮と話がしたいんだ……。

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