王子様の甘い誘惑【完】
23時過ぎ、あたしはリビングのソファに体を横たえた。
数分おきに時計を気にしてるなんてバカみたい。
蓮がいつ帰ってこようと、あたしが口を出すことじゃない。
分かってるけど、無性にイラついてしまう。
どうせまた、女物の香水の匂いを漂わせて帰ってくるんでしょ?
香水が自分の体に移るようなこと……女としてるんでしょ!?
「あーーー……!!もう!!!イライラして眠れない!!!」
そう叫んだ瞬間、玄関の方からガチャッという音が聞こえた。