王子様の甘い誘惑【完】
今、顔を合わせるのは正直気まずい。
こういうときは、タヌキ寝入りに限る!!
あたしはソファに仰向けで横になると、ギュッと目を瞑った。
「……寝てんのか?」
リビングの扉が開く音。
その音の後、蓮の足音があたしに近付いてきた。
そしてその足音は、ソファの前でピタリと止まった。
ドクンドクンと脈打つ心臓。
その音が蓮にバレてしまわないかって心配になる。
「おい、ここで寝ていいなんて言った覚えねぇぞ」
「……」
目を瞑ったまま無言を貫く。
その時、唇に温かくて柔らかいものが触れた。