王子様の甘い誘惑【完】
「……ちょっ……!!何すんのよ!!」
今のって……キスだよね!?
ありえないんだけど!!
慌てて起き上がって口元を手で覆って蓮に視線を向ける。
すると、蓮は呆れたようにあたしを見下ろした。
「タヌキ寝入りなんてしやがって。バレバレなんだよ」
「だからって、キスすることないでしょ!?」
蓮のキス魔!!こんなんじゃ、おちおち寝ることもできないよ!!
そりゃ、蓮のことは……好きだけど、それとこれとは話が別。
お互いに合意の上なら問題ないけど、一方的にするなんて。
気が収まらなくてもう一度文句を言おうとした時、蓮の体から漂うある匂いに気がついた。
それは、お父さんが酔っ払って帰って来た時に漂う匂いで。
「お酒、飲んでるの?」
そう尋ねると、蓮は「別に」と素っ気なく答えてリビングから出ていった。