王子様の甘い誘惑【完】
「……――お……」
すると、突然蓮がポツリと寝言をいった。
「こんなの反則だよ……」
眠っているとはいえ、こんなにきつく抱きしめるなんて。
『理生』
寝言であたしの名前を呼ぶなんて。
あたし……こんな形で蓮と出会いたくなかったな。
契約で結ばれたあたし達の関係。
金の切れ目が縁の切れ目ってよく言うでしょ?
あたし達の関係もお金で繋がってるんだもんね。
だけど、それが例えどんな繋がりであったとしても……
あたしが蓮を好きになってしまった事実は変わらないんだ。