王子様の甘い誘惑【完】
第六章 波乱の幕開け
翌朝。
「……おはよ!!」
上半身裸のままリビングに入ってきた蓮にギョッとしながらも、声をかける。
蓮は無言のままスツールに腰掛けると、おでこに手を当てた。
「どうしたの?具合でも悪い?」
「別に」
「熱でもあるんじゃない?」
あたしは洗い物を一時中断して、蓮の横にあるスツールに座って蓮の顔を覗き込んだ。
「熱なんてない。昨日飲みすぎただけ」
「飲みすぎたって……あぁ!お酒のことか。何でそんなに飲んだの?」
クラブがどういう場所かよく分からないけど、そこでハメを外してしまったみたいだ。
だけど、それは自業自得だしね。
一人で納得していると、蓮はあたしを横目で睨みつけた。