王子様の甘い誘惑【完】
昼休み。
あたしはサヤを誘って食堂へ向かった。
「ねぇ、理生。あたしお弁当持ってきてるし、食堂行く必要なくない?理生だってお弁当でしょ?」
「いいのいいの!!黙ってついてきて!!」
グイグイと腕を引っ張るあたしをサヤは不思議そうな顔で見つめる。
ユキ先輩が今日も食堂にいるっていう保証はない。
だけど昨日もいたし、今日もいるだろうというあたしの安易な考えは見事に的中した。
「……ちょっ!!あたしの王子様が……パンを買ってる!!」
食堂の入口にある売店でパンを買っている様子のユキ先輩。
その姿を見るなり、サヤは顔を赤らめて声をあげた。