王子様の甘い誘惑【完】
「そっか。嬉しかったんだ」
先輩は「よかったね」と言いながらあたしの頭を撫でた。
優しく微笑む先輩の顔。
でも、瞳の奥は笑っていない気がして。
すると、先輩は思い出したようにこう言った。
「さっき、サヤちゃんに聞かれたでしょ?俺がどんな女の子が好きか」
「あ、はい。でも特にタイプはないんですよね?」
確か、先輩はそう答えていた気がする。
「あるんだよ」
「え……?でも、あの時はないって……」
「あの場では蓮がいたから言わなかっただけ。俺の好きなタイプは……」
先輩は頭に乗せていた手を徐々に降ろしてあたしの頬に添えた。