王子様の甘い誘惑【完】
「あ、そうだ。昨日さ、あたしに家政婦やめていいって言ってたでしょ?」
「言った」
「でも、あたしって学校に通えるのもこの家に住めるのも全部蓮とうちの両親の契約があるからだよね?あの契約ってあたしが家政婦辞めたらどうなるの?」
あたしは家政婦を辞めて、蓮と付き合い始めたわけで……。
ってなると、あの契約はどうなっちゃうの?
「まさかあの契約、本気で信じてたわけ?」
すると、蓮は信じられないという表情であたしを見た。
「え?何それ。どういう意味?」
「お前の両親、本当にお前に何も言わなかったのか?」
「……言わなかったけど」
「しょうがねぇな。俺が一から話してやるよ」
蓮はそう言うと、あの契約が結ばれた理由を詳しく説明してくれた。