王子様の甘い誘惑【完】
「……蓮に会いたいなぁ……」
さっきまで一緒にいたのに……。
ポツリと呟いた時、制服のポケットに入れておいた携帯がブルブルと震えた。
授業中は原則、携帯の使用は禁止。
あたしは教壇に立つ先生にバレないように、机の下で携帯を開いた。
『今日も食堂でご飯食べない?』
送信者はサヤだった。
サヤは先生に気付かれないようにあたしの方に視線を向けて、パチッとウインクする。
ユキ先輩と一緒にご飯食べたいのかなっ?
そう察したあたしはすぐに『OK』と親指と人差し指で丸を作ってサヤに向けた。