王子様の甘い誘惑【完】
「そっかぁ。理生に先越されちゃったね!あたしもユキ先輩と付き合いたいなぁ……」
「もしサヤがユキ先輩と付き合ったら、ダブルデートできるしね!!」
「……でもさぁ……」
すると、急にサヤは表情を曇らせた。
「どうしたの?」
思わず首を傾げてそう尋ねると、サヤは小さく溜息を吐いた。
「あたしさ、勘だけは昔からいいんだよね。大体外れることがないんだけどさぁ」
サヤはそう前置きした後で、意外なことを言い放った。
「ぶっちゃけ、ユキ先輩って理生のこと狙ってると思うんだ」
「……へ?」
ユキ先輩が……あたしを?
まさか……そんなはずないよ!!
「ううん、それはありえない」
手をブンブンと左右に振って否定しても、サヤの表情は変わらない。