王子様の甘い誘惑【完】
「……ユキ先輩……かぁ」
そういえば、ユキ先輩って付き合ってる人とかいるのかな?
ユキ先輩とサヤのこと、本気で応援してあげたい。
蓮はユキ先輩と友達だし、話せば協力してくれるかな?
ん~……。でも蓮のことだし「めんどくさい」とか言いそう。
あれこれ考えていると、「理生ちゃん」と誰かに名前を呼ばれた。
「ユキ先輩……」
タイミング良く現れた先輩は、あたしの前の席に座りながら首を傾げる。
「どうしたの。ボーっとして」
サヤが王子様っていうのも分かる。
優しく微笑むその表情は王子様みたいだもんね。
……って、何で先輩の顔に見惚れてんの。
ハッと我に返ったあたしは、キョロキョロと辺りを見渡した。