王子様の甘い誘惑【完】
「愛沢さんの彼氏って……」
「俺だよ」
男の子を見下ろして、怒りのオーラを全身から放つ蓮。
その傍(かたわ)らにいたユキ先輩はあたしの耳元でそっと囁いた。
「あの男の子、運も悪いけど性格も最高に悪いね」
ユキ先輩は楽しそうに蓮と男の子の様子を眺めている。
「……す、すみません!!」
男の子は蓮の顔色を伺いながら真っ青になって頭を下げる。
「さっきさ、理生がお前に喜んでついてきたとか言ってたな?」
「いや……それは……あの……」
どうにか言い逃れようとする男の子の前に蓮はゆっくりと腰をかがめて、同じ目線になった。