王子様の甘い誘惑【完】
「理生が俺以外の男に喜んでついてくはずねぇだろーが」
蓮は男の子の胸ぐらを掴みながらドスの利いた声で威圧した。
「……は、はい!!」
「二度と理生にちょっかい出すんじゃねぇぞ」
「すみませんでした!!」
男の子は蓮にペコペコと頭を下げると、逃げるようにその場を後にした。
その途端、嵐が去った後のように辺りがシーンっと静まり返る。
そして、わずかな沈黙の後、
「理生」
蓮がクルッとあたしの方に向き直った。