王子様の甘い誘惑【完】
「これは脅しなんかじゃないからね!?」
無表情の蓮にもう一度念を押す。
すると、蓮は「へぇ……」と興味なさげに呟いた。
「勝手にすれば?親に言ったところで何にもならないと思うけど」
「……ハァ?!そんなわけないでしょ!!」
うちの親をバカにしてるの!?
あたしをバカにするのはいいけど、親のこと悪く言うなんて……――!!
自分で言うのもなんだけど、両親は一人娘のあたしを可愛がってくれている。
だから家計が火の車でも、あたしのことを考えて私立のこの学校に入学させてくれたんだ。
あたしが見知らぬ男にキスされたなんて知ったら、両親……ううん、お父さんが絶対に黙ってない。
『理生は大きくなったら、お父さんと結婚するんだよな?』
なんて、最近まで言ってたんだから!!