王子様の甘い誘惑【完】
すると蓮は急に顔をしかめて、あたしをジッと見つめた。
「……っ……!!」
ドクンッ……――!!!
その瞬間、心臓がジャンプした。
やっぱり、その茶色い瞳に見つめられると心臓がおかしくなる。
あたしは平常心を装う為に、胸に手を当てた。
「お前、まさか聞いてないの?」
「……何を?」
ああ、ダメダメ。心臓が破裂しそう。
そんなに見つめないで。
「今日からお前が、俺の家政婦兼同居人だっていうこと」
「……え?」
なにそれ?
家政婦?同居人?
一体何の話をしてるの……――?
思わず違う世界にトリップしてしまったあたし。
そんなあたしの鼻をギュッとつまむと、蓮は「ぶっ!」と吹き出した。