王子様の甘い誘惑【完】
「何て顔してんだよ。とにかく、お前の両親は俺と契約を結んだんだ。だからおとなしく俺に従え」
「そ、そんなはずない!!うちの両親があんたとなんて契約結ぶわけないでしょ!?」
これは何かの間違い!!こんなこと絶対に、ありえない!!
うちは確かに貧乏だけど、お父さんもお母さんも娘を見知らぬ男に売る様な身勝手な人間じゃない。
今日の朝だって、笑顔で見送ってくれたんだもん。
駅まで見送ってくれたもん。
……ん?でも、ちょっとおかしいな……。
そういえばあたし、帰りの切符代……貰ってなくない?
お財布の中に……帰れるだけのお金……入ってたっけ?
「これ見ろ。お前の親の字だろ?」
蓮はポケットの中から一枚の紙を取り出して、あたしの前にヒラヒラとかざした。