王子様の甘い誘惑【完】
「あたしと蓮は中学の時に付き合ってたの。それはユキに聞いた?」
「はい。……聞きました」
「あの時、蓮があたしに一方的に別れを告げたのはね……うちの父が原因なの。だから蓮は悪くない。それを知ったのは、つい最近のことなの」
「お父さんが原因ってどういうことですか?」
「うちの父は、大手企業の社長だから、私にはそれ相応の相手と付き合って欲しいってずっと言っていたの」
「でも、蓮のお父さんだって社長じゃ……――」
「うちのお父さんと蓮のお父さんは敵対する関係なの。ライバル同士っていうのかな?」
愛子さんは唇に指を当てて目を左右に揺らす。
その姿がとても綺麗で……。あたしは愛子さんの仕草に目を奪われていた。