王子様の甘い誘惑【完】
「文化祭の時に愛子に会って、正直すげぇ動揺した」
「……うん」
「俺と愛子はお互い嫌いになって別れたわけじゃなかったから」
愛子さんも、そう言っていたもんね。
だけど、やっぱり蓮の口からそれを聞くとショックで。
また二人の気持ちが盛り上がってしまうような気がしたから。
「でも、お前とユキがキスしてんの見た時の方がよっぽど動揺した」
「え……?」
「ユキが愛子のこと好きなの知ってて付き合って、今度も同じ状況でさ。俺、ユキの好きな女、奪ってばっかりだ」
蓮はぼんやりと地面を見つめる。
その表情はどこか悲しそうだった。