王子様の甘い誘惑【完】
第二章 ×××な王子様
「この店で買う気か?」
「そうだけど、なんで?」
学校を出てしばらく歩くと、一軒のスーパーが目にとまった。
こじんまりしていて少し古臭いけど、店先に置かれている特売品はどれもかなり安い。
材料を買って蓮の家でご飯を作ることに決まったのは、ほんの数分前のこと。
それなのに、「腹減った」と繰り返していた張本人は、店の前で露骨に顔を歪めて中に入ろうとしない。
まったくもう……。
お腹空いたって言ったくせに。