王子様の甘い誘惑【完】


すると、急に教室中がザワザワと騒がしくなった。


「……ん?」


その原因を探そうと辺りをキョロキョロと見渡した時、教室の扉から顔を覗かせているユキ先輩に気が付いた。


「ゆ、ゆ、ユキ先輩だ!!」


「あっホントだ。先輩、サヤに会いに来たんじゃない?」


「違うよ……。だって、蓮先輩もいるもん」


「えっ!!嘘!?蓮が??」


ユキ先輩があたしに会いに来るわけないよね……。



「サヤ、頑張って!!……――蓮~!!」


ちょっぴり期待した分、ショックも大きくて。


あたしは嬉しそうに蓮先輩の元に走っていく理生の背中を見つめながら小さな溜息をついた。


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