王子様の甘い誘惑【完】
「今度遅くなるときは連絡する。外で食う飯より、お前が作った貧乏料理の方がうまいしな」
「貧乏料理……!?失礼な!!」
「うまいって言ってんだからいいだろ。いちいちケチつけんな」
蓮は不機嫌そうにそう言い捨てるとあたしに右手を差し出した。
「携帯貸せ」
「どうして?」
「いいから早く出せ」
「……わかった。出せばいいんでしょ?出せば!!」
渋々ポケットから携帯を取り出して蓮に差し出すと、
「化石だな」
携帯を見るなり蓮はふんと鼻で笑った。
そして、なにやら勝手にピコピコ操作すると蓮はあたしに携帯を手渡した。