王子様の甘い誘惑【完】

「……よしっ!これでOKだっ!!」


そう小声で呟いてニヤけた瞬間、


「……遅くまで待たせて悪かったな」


椅子から立ち上がった蓮は、あたしに背中を向けたままそう言った。



「……え?」


声のトーンに違和感を感じて、蓮の大きな背中をじっと見つめる。


でも、蓮の顔は見えなくて。


あたしが首を傾げている間に、蓮はそれ以上何も言わずにリビングから出ていった。

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