王子様の甘い誘惑【完】
夕飯の片付けを終えてお風呂から出ると、あたしは荷物の置いてある部屋に向かった。
「それにしても、お風呂気持ちよかったなぁ……」
足を伸ばしても楽に入れる大きさの浴槽に浸かると、一日の疲れがとれた気がした。
「……あれ?そういえば……」
ドアノブを回して部屋の中に入った瞬間、ふとあることに気がついた。
この部屋、布団がない。
ベッドもそれらしき寝具も見当たらないし……。
家政婦は床に寝ろってこと?
まさかね……?だけど、ないものはない。
「ありえないから……」
とりあえず、蓮に聞いてみるしかないな。
あたしはブツブツと文句を言いながら隣にある蓮の部屋に向かった。