王子様の甘い誘惑【完】
コンコンッと部屋の扉をノックする。
「……蓮、入るよ?」
でも、中はシーンっと静まり返っていて返事はない。
もしかして、もう寝ちゃってる?
恐る恐るドアを開けると、ベッドの上に腰掛けている蓮の姿が目に飛びこんできた。
「起きてるんなら返事くらいしてよ。ねぇ、あたしの布団ってどこにあるのかな?」
「お前の布団?あぁ、そういえば用意してねぇや」
「……嘘……じゃあ、あたしどこに寝ればいいの?」
リビングにあったソファで寝るしかない?
うちにある薄っぺらいおせんべい布団よりはずっと寝心地はよさそうだったけど。