王子様の甘い誘惑【完】
「……分かった!分かりました!!」
時計の針は午前一時を回っていて。
これ以上蓮を怒らせたらめんどくさいことになりそうだし、腹をくくるしかない。
あたしは仕方なく蓮の隣に滑り込んだ。
その時、背中を向ける蓮から漂う香水の匂いに気が付いた。
それは明らかに女物で。
そう悟った時、何故かチクリと胸が痛んだ。
「誰と一緒にいたの?」
そう聞いてしまいたい衝動に駆られる。
でも、それを聞いてしまうことは明らかに契約違反で。
あたしは蓮のことを干渉しちゃいけないんだもんね……。