王子様の甘い誘惑【完】
「ねぇ、サヤ。やっぱりやめといたほうがいいんじゃない?」
何度警告しても、サヤはあたしの言うことを聞こうとしない。
「あたしはVIPルームの人と付き合うためにこの学校に入ったの!絶対に落として見せるから!まずは顔見知りになっておかないと!!」
「でもさぁ……」
サヤが見たというイケメンがもし蓮だとしたら、あたしはお手上げだ。
サヤは間違いなく蓮を狙うだろう。
確かに蓮はカッコいいけど、性格は最低最悪。
自己中だし強引だし意地悪だしドSだし……
人のファーストキスを無理矢理奪うし。
昨日の出来事を事細かにサヤに話したいのに、サヤはあたしの腕を引っ張ったまま旧校舎に入っていく。
あーー!!もうどうにでもなれ!!
そんな気持ちが芽生えた瞬間、
「君達、ここで何してんの~?」
立てつけの悪い扉が急に開き、中から坊主頭の強面の男が顔を覗かせた。