王子様の甘い誘惑【完】

「あの……えっとぉ……」


鋭い視線が体中に突き刺さって思わず目を泳がせる。


「君達、一年?」


「はい……そうですけど……」


「マジ?俺も一年なんだけど~!!」


「……えっ。あなたも一年なの?」


すると、サヤは男の子が一年生と知った途端、ニコリと満面の笑みを浮かべた。



「ねぇねぇ、VIPルームってどこにあるか知ってる?」


「ちょっと!サヤ!!もう戻ろうよ!」


眉間に皺を寄せている男の子の鋭い眼に、思わず全身を強張らせる。


やっぱりこんなところに来なければよかったんだ。


ここはあたし達が来るような場所じゃない。


坊主頭の男にペコペコ頭を下げながらサヤの腕を引っ張った瞬間、



「お前、こんなとこで何してんの?」


「……え?」


聞き覚えのある声に思わず振り返ったあたしは目の下を思いっきり引きつらせた。




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