愛されなくても愛してる
「…あの 泣いてる人?」
神様がぼくに聞いた。
『うん、そう』
ぼくは神様に答えた。
「…なぜあの人を?」
神様がぼくに聞いた。
ぼくは大きな声で
神様に答えた。
『神様、ぼくはあの人の
泣き顔じゃなくて
笑った顔が見てみたい。
ぼくが笑わせたいんだ。
ぼくは男の子だから、
ぼくが守ってあげるんだ』
神様はぼくの頭を撫でて
少し悲しそうに言った。
「…そうか…わかった。
…でも あのママと君は
そんなに長くは居られない。
…それでも良いかな?」
『え?どうして?何で?』
ぼくはビックリして
神様に聞いた。
神様は答えてくれなかった。
それは
言ったらダメなんだって。
ぼくが生まれた後の事を
[ぼく]に教える事は
絶対出来ないんだって。
[ママと長くは居られない]
少し悲しくなったけど
ぼくは
あの人の子供になる。
そう決めたんだ。