ケーキ屋のあなた
彼女が奥から出て来た
まずは、たわいのない話からしたらいいんだよな
「あっあの」
「はい?何でしょう」
「ここの店の休みはいつでしょうか?」
「えーとっ、毎週火曜日と第3土曜日は休みです」
「そうですか」
よし!会話は出来てるぞ
これを途切れないように続けて話さなければ
「ここはあなた一人でやっているんですか?」
これはずっと疑問に思っていたことだ
もしかすると、彼女の隣りに歩いていた男も働いているかもしれない…
「いえ、ここは父の店なんですよ
ここには私と父、兄、弟とやっています」
「そうなんですか」
じゃあ、あの男はこの店で働いていないってことか
「お客さん!ロウソクは何本必要ですか?」
彼女は俺と話しながらも、ケーキを箱に詰めている
すごいよな…
俺だったらこんな器用なこと出来ない
話しながらケーキを箱に詰めようとすると、絶対にケーキが潰れるな
「伊勢崎!ロウソク何本いる?」