ケーキ屋のあなた
もしかして、恋人…だったりして
嫌、恋人はいないって言っていたし
もう、俺の頭はパニック状態だ
そして、追い打ちをかけるように
外国人は名笹田さんの頬にキスをした
「Qu'est-ce que c'est soudainement?」
(いきなり何ですか!)
「C'est juste une plaisanterie」
(ほんのジョークだよ)
「C'est le Japon ici!
Veuillez cesser de causer comprendre mal」
(ここは日本ですよ! 誤解を招くことは止めて下さい)
「Ha-ha!」
(はははっ!)
へっ・・・・
・・んなぁー!!
いっ今、キッ…キスを名笹田さんにぃー!!
外国人はそのまま店を出て行ってしまった
俺は茫然と立ち尽くしている
「あ、すみません東谷さん
みっともない所をお見せしてしまって」
名笹田さんはそう言い、いつも通り、俺が頼んでいるケーキを選び出した
もう、さっきのことは無かったかの様に仕事をしている
このまま、過ごしていたら
何も変わらない
そうだよな…
名笹田さんはかわいいし、俺の他に好きになっている男だっているかもしれない
あの外国人だってそうなのかもしれない…
このままじゃ、人生は何も変わらない
行動しなければ後悔ばかりなる
俺は拳を握りしめた