ケーキ屋のあなた








「着いてしまった…」

わぁ~…ここに来るとやっぱし胸がドキドキして来る


東谷は入ろうかどうか、店の前でうろうろしていたら
店の中から、男性が出て来た



「よお、常連さんじゃねーか」


「……あっ!お兄さん!」


男性は名笹田さんのお兄さんだ
名前は知らないので、勝手に「お兄さん」と呼んでいる

お兄さんも、そこんところは突っ込まないでいてるので
もう、この呼び名でいいのかな?と思ってる



「常連さん、友美に告ったんだって?」


うおっ…!!
なぜ、お兄さんが知っているんだ!?


それに、俺は元々名笹田さんに会いに来たのに
なぜ、お兄さんに会っているんだ!?



「いい度胸じゃねーか、3ヶ月そこらで会ったばかりで告白ってか」



「あ…のっ、…そのっ…!」

気まずいー!!
どうするこの状況!?

いっその事逃げ出そうか
嫌、逃げだすのはダメだ

また、ヘタレ思考の方向に考えてしまう…
ちゃんと向き合うべきなんだ



「……そうです、俺は名笹田さんに一目惚れし、告白しました
今日はその返事を聞きに来ました」



「…そーか」



お兄さんはズボンのポケットから手紙を取り出し、俺に投げ渡した


「これは?」


「友美から」

はい?名笹田さんから?


「お前にその手紙を渡してって頼まれてたんだよ」


< 62 / 64 >

この作品をシェア

pagetop