ケーキ屋のあなた
「まぁ、お前が聞きたかったことは全てその手紙に書いてあんだろう」
俺は手紙を見つめて停止した
「で、友美がいないケーキ屋だけど
ケーキを買って帰りますか?」
……………
「……反応無しか…」
お兄さんは頭をかきながら店の中に入った
俺はそのまま立ち止まって、手紙を見つめている
身体が海にのみ込まれてしまったように重い
この手紙を開けて見てしまったら結果がわかる
早く中身を見てみたい気持ちもあるけど
見たくない不安な気持ちもある
俺が店の前につっ立ていた時
後ろから聞き馴染みた声が聞こえて来た
「……い、何て……か聞こえ…か?」
もしかして、この声はあいつらか?
俺は耳を声のする方へ傾けた
「……んない…舞子ちゃん…聞こえた?」
「全っ然聞こえねー」
…今、舞子ちゃんって言ったよな
それに舞子ちゃんの声の前に話していたのは有河と原田だな
ちょっと待てよ…
何であいつ等がここにいんだよ!
もしかして、偵察か!?
告白したことも、今日聞きに来ることも伊勢崎は知ってるし
それより…
あいつ等はあれで隠れているつもりか?
舞子の奴、もっとボリューム下げなきゃ丸聞こえだよ