ケーキ屋のあなた
…帰りたいけれど
「ここどこだ?」
道がわからなかった
俺はいったん戻って、さっき出た店に入った
「いらっしゃい…さっきのお客さん どうかしましたか?」
一度出てきて同じ店に入るのは気難しい…
「…あの…ここはどこですか?」
「…へ?」
やっぱり…こんな反応すると思った
大学生が住んでいる町で迷ってしまうことなんて、そうそういない
誰もがびっくりするだろう
「ここは道がややこしいですからね」
彼女はたぶん店の制服と思われるエプロンを外し、店の奥から出てきてくれた
「わかる道まで、いっしょに行きましょう」
「とっとんでもない!教えてもらったら道、わかりますから!」
俺は大きく手を振った