図書室の君【短編】



涙が溢れてくる。




こんな形で知られるなんて。




私の、初めての恋。




そんな私をじっと見つめ、
彼は少し視線を落とした。




「…どうして、泣くんですか。
やっと、話しかけることができたのに」





「え………?」




夕暮れ、
逆光のなかで
彼は本を閉じて立ち上がった。




コツ、と




彼の足音が私に近づいてくる。




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