図書室の君【短編】



「あなたはここで、
カントを読んでた。」





「……えぇ!?」




私が自分から、
哲学を読んでた!?




「西日が差す窓際のこの席で
あなたが哲学を読む姿に
俺は夢中になった」




「あ……」




思い出した。




あの日私は、
哲学めいた現代文が苦手で
自ら参考になりそうな本を探しに来たんだった。




でも、え?




私に、夢中になった……?





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