図書室の君【短編】
「あなたの傍にいたくて、
あなたがどんなひとか
知りたくて、
あなたが手に取った本を
二年間読み続けてた。」
涙が頬を伝う。
さっきのとは違う、涙。
「……すきです。
二年間、あなただけでした」
目に涙を浮かべて
彼を見つめると
誰より愛しいそのひとは
夕暮れの中、
静かに私を抱き寄せた。
「……俺もです。
きっと俺は、
永遠にあなただけだ」
誰もいない図書室で
私たちの影だけが
夕暮れにのびて、溶け合っていった。
END.