Beats! ~美歌と奏楽の恋物語~
「やばっ
もうこんな時間っ!」
花音がそう言い出したので、俺は時計を見た。
時刻は…
10:00を回っていた。
っつか俺たちどんだけ演奏してんだよっ!
「高校生だし、もう今日は帰った方がいい。
各自家で練習しといてよ?
そんじゃ、解散。」
「「「「「はーい」」」」」
「それと、夜遅いし、
男の子は女の子をちゃんと家まで送ってあげてね」
言われなくても、
そんくらい分かってるっつの。
「んじゃ俺は美歌送る。」
家的には花音の方が近いけど、
花音は謡の彼女だし。
美歌は俺の彼女だし。
「…俺…花音。」
やっぱ謡はそう言った。
問題は…
「んじゃ…俺は鈴鳴を…」
「はぁ!?
別に一人で帰れるし。」
「何いってんだよ!
こんな時間に女一人って…危ないだろ!?」
「…しつこいっ!
いらないっつってんじゃん!」
「お前なぁ~
こっちは心配して…」
そ。
問題はこの二人なんだよな。
鈴鳴ちゃんも、絶対送って欲しいと思ってるよ。
素直になればいいのに。
「っつか宙音みたいなチビが居たところで、
あたしを守れないから。
むしろあたしが宙音を送る側なんじゃない?」
「…あんなぁ鈴鳴!
俺のことチビチビ言ってるけど、
お前の方がチビだろ。
第一、俺だって男なんだぞ?!」
「あんたのこと男だなんて思ってない!」
…ちょ…っ!
鈴鳴ちゃん、それは言い過ぎ…!
「…あっそ。
分かったよ。
そんなに俺が嫌なら一人で帰れ。」
「…っ!
言われなくてもそうするわよ!
宙音のバカっ!」