Beats! ~美歌と奏楽の恋物語~
giocoso 〜嬉々として〜
「〜♪〜♪♪〜♯〜…」
す…すごぉい…。
超うまい…
みんな音が綺麗に揃ってて、ずれることなく演奏してる…
それって、すごく難しいことなのに…
それに、何より、みんな…笑顔だ!
みんな、キラキラしてて…。
翡翠くんのギター…
元気良く、跳ねる感じのする音は…
そのまんまの翡翠くんを、表してる。
素直に、ただ楽しいって気持ちがこっちまで伝わって来るんだ…。
花音ちゃんのキーボード…
おしとやかに、でもどこか迫力がある感じも、
まんま、花音ちゃんって感じ。
花音ちゃんに、優しい時と厳しい時がある所みたいに。
宙音くんのドラム…
力強く響いて行く音…。
宙音くんは見た目は可愛らしい男の子って感じだけど、
結構はっきりしてて、力強くて…
謡くんのベース…
優しくて、落ち着く…
影でみんなを支えてるって感じも…
ははっ!
これも、もろ謡くんだ。
みんな、楽器から性格が出てる。
音から、性格が出てる。
音から声が聞こえるんだ。
“楽しい”って言う、声が…
私、このバンド入ろっかな…。
軽い気持ちかも知れないけど、
私も、こんな風に…みんなで1つになって、楽しく歌いたい…
皆で、1つになって、歌いたいの…!
「どーだった?美歌。」
翡翠くんが、詰め寄って聞いてきた。
すごい汗…
一生懸命やってたもんね。
「私…私、入りますっ!
この部活!」
「まっ…」
「「本当にッ?!」」
翡翠くんの言葉は、
花音ちゃんと宙音くんの声にかき消された。