Beats! ~美歌と奏楽の恋物語~
翌日…
「…だからぁー!
なんでそこが“2X”になんの!?
“2+X=2X”じゃないからっ!
何回言えば分かんの!?
このバカッチビッ!」
「だって…難しいんだって、この問題!」
「これ中1の問題ですけど?
あたしは小学生だった時でも解けてたねっ!」
「…ぅっ…」
朝、いつものように学校に来てみれば、
鈴鳴ちゃんが宙音くんに勉強を教えてる姿が…
「はい、次の問題っ!
これ解けなかったら、髪の毛坊主だからねっ!」
「わかったわかった…解く解く!
解くからハサミおいてくんね?
っつか、ハサミで坊主にできねぇから!」
勉強…教えてる…のかな?
鈴鳴ちゃんが宙音くんをいじめてるように見えるのは…気のせい?
「ちょっと、転校生。」
「へ?」
「なに宙音くんいじめてんのよ!?
っていうか転校してきたばっかなのに、馴れ馴れしくない?」
笹木さんのグループの人達だ。
笹木さんは確か、宙音くんにフられて…
「笹木、鈴鳴は俺の幼馴染だし、馴れ馴れしいのは当たり前だ。」
「え、そ、そうなの?」
宙音くんが言うと、しおらしくなる笹木さん。
「言っとくけどあたしは宙音のこと好きじゃないし。
第一、宙音もあたしのこと好きじゃないし。
あたしは宙音に勉強教えてって言われたから教えてただけよ。」
「そ、そうだったんだ…
えっと、ごめんなさい、有愛さん。」
なんか、気まずい雰囲気になっちゃった。
「まぁあたしが邪魔みたいだし、あたし、屋上でも行って来る。」
「おい、ちょっと待てよ鈴鳴!」
「ついてこないで!
宙音はその子と一緒に居たら?」
ダッ
鈴鳴ちゃんは、走って行ってしまった。
「あ、私、鈴鳴ちゃんを追いかけてくる!」
「俺も行く!」
そう言ったのは、奏楽だった。
奏楽も私も走った。
鈴鳴ちゃんを追いかけて。
だって、鈴鳴ちゃん、泣きそうな顔してた。
一人にしておけないよ。