Beats! ~美歌と奏楽の恋物語~
「鈴鳴ちゃんっ!」
屋上に来たら、鈴鳴ちゃんが一人居た。
目を真っ赤にした、鈴鳴ちゃんが。
今にも泣きだしそうなのに、歯をくいしばって、泣くのを我慢している鈴鳴ちゃんが。
「…何しにきたのよ、あんた達。
もう授業始まってるんじゃない?」
鈴鳴ちゃんと比べたら、授業なんてどうでも良いんだよ?
鈴鳴ちゃんは、私の仲間だし、
それに、私も鈴鳴ちゃんの気持ち、少しは分かるんだ。
好きな人を取られたくないのに、素直になれないって、気持ち。
「鈴鳴ちゃん…鈴鳴ちゃんは、宙音のこと、好きなんでしょ?」
「それなら、本当のこと、いったほうがいいって!」
奏楽も、私に続いてそう言った。
「誰があんなやつのこと…
好きになるわけないでしょ。」
それ、本当の気持ちじゃないよね。
鈴鳴ちゃんを見てたら、わかるよ。
鈴鳴ちゃんは、きっと、私よりも素直じゃない。
思ってることと、反対のこと言っちゃうんでしょ?
それじゃダメだよ。
言葉にしなきゃ、相手に伝わらない。
私はそれが分かったけど、鈴鳴ちゃんは分かってない。
だから私が、分からせてあげなきゃ…。
「鈴鳴ちゃん、正直に…「ええ、そうよ!!」
鈴鳴ちゃんが、叫んだ。
「あたしは、宙音のことが好き。」
「だったらそれを、宙音くんに伝えなきゃ!」
「無理よっ!」
どうして…?
その、好き鳴ちゃんの本当の気持ちを、宙音くんにいったらいいんじゃないの?
「あたしが宙音のこと好きでも、
宙音はあたしのこと嫌いなの。」
「そんなこと、誰が言ったんだよ!?」
そう言ったのは、私でもなく、奏楽でもなく、
宙音くんだった。
宙音くん、来てくれた…
「俺は、鈴鳴のこと、嫌いなんて思ってねぇ。」
「嘘つかないで!」
「嘘じゃねぇよ!」