Beats! ~美歌と奏楽の恋物語~
「ボーカル?」
「あぁ。」
ずっと、思ってたんだが、このバンド部にはボーカルがいない。
なんでいねぇんだよっつーツッコミは置いといて…
とにかくバンドでボーカルがいないのはヤバイッ!
「奏楽がすればいいじゃん。
ギターボーカルとか、カッコいいしっ!」
と、花音。
花音の提案は最もだけど…
「俺…すっげぇオンチなこと、花音知ってるだろ?」
そ、俺は超がつくほどのオンチだ。
カラオケで60点でれば奇跡ってくらいだ。
「あ~そうだったね。
んじゃ、謡は?
ベースボーカルってのもいいんじゃない?」
「俺…歌…自身ない…」
そーなんだよなぁ。
謡、歌下手ってわけじゃねぇけど、微妙っつーか…
キーボードとかドラムが歌うのも、場所的に無理あるし…
「誰か、歌うまいやつメンバーに加えようぜ。」
「そだね~
じゃぁ、歌うまい子居たら誘っといてっ!」
「オッケーっ!」
「…賛成…」
「んじゃ、取り敢えず今日は部活終わり!
俺教室に忘れ物したから取りに行ってくるわ。」
筆箱忘れたんだよな。
「ぇ、ちょっと奏楽ーっ!」
そんな花音の言葉を無視して、
俺は教室へ走った。
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ガラッ
俺は教室に入るなり、自分の席に向かう。
「あった、あった。」
机の上におきっぱだった。
…筆箱を取って、教室から出た瞬間…
「♪〜♪♪〜♯〜…」
隣の教室から、すごく…すごく、綺麗な声が聞こえた。
「…誰か、いるのか?」
俺は、隣の教室のドアを開けた。
ガラッ…