Beats! ~美歌と奏楽の恋物語~
presto 〜急速に〜
「ふーん。
…じゃぁさ、あたしが毎朝奏楽ん家まで起こしに行こっか?
家隣だし。」
そう。
俺と花音の家はすぐ隣。
だから小さい頃から遊んでた、幼馴染な訳。
って、起こしに来てくれんのかよ!
マジ助かるー!
「ウソウソ。冗談!
いくら幼馴染でも
この年で男の子の家までいって、
男の子を起こすなんて…
冗談に決まってんでしょ?」
「え、なんでだよ?!
来てくれよーっ
男とか女とか関係ねぇだろ?
俺は花音の事女としてじゃなくて、
幼馴染としてみてるしさ♪
な?
頼むって!」
「…」
花音は突然黙ってしまった。
なんでだ?!
俺、なんもいってねぇのに。
最近の花音…わけわかんねェ…
「…奏楽は、あたしのこと、幼馴染としか
見てないの?」
花音が口を開いた。
「は?
だから、俺はちゃんと花音の事幼馴染として見てるって!」
「…もぅいい…」
花音はくるっと後ろを向いて、教室から出て行ってしまった。
なんだよ…花音のやつ。
花音は俺の事…
幼馴染だとも思ってなかったのかよ…。
だから最近、俺に対する態度も変だったのか…。
そう、最近の花音は俺への態度が変だった。
目が合っただけですぐに顔を下向けたり…
手が触れただけでぱしっと手をはたかれたときもあった。
宙音や謡には、
普通に接してるのに。
俺とは、しゃべってる時さえも、目を合わせない。
あんなに小さい頃は仲が良かったのに…
俺は、今でも花音のこと、すきなのに。
幼馴染として、大好きなのに。
花音は、俺の事嫌いになったのかな?
花音は、もう俺を幼馴染とも思ってねぇんだよな…。