Beats! ~美歌と奏楽の恋物語~
「おっす!
奏楽!
遅刻ギリギリだったなぁーっ」
「…遅刻…と…思った…」
宙音と謡だ。
「あぁ。
すんげぇ滑り込みだっただろ?!」
俺は無理して笑った。
「まぁ寝坊だって思ってたけどな。
奏楽が風邪ひくなんて…100%ありえねぇ!」
「バカってことかよ!」
ヤバイ…
今絶対顔引きつってる。
笑顔って難しい…。
いつも、どうやって笑ってたっけ?
「…花音…は?」
ギクッ!!
謡に気づかれた。
やっぱ気づかないはずねぇよなー。
「あ、本当だ。
花音と奏楽が一緒にいないって、珍しいな。」
「…」
なんて言ったら良いかわかんなくて、
黙ってしまった。
「ケンカでもしたんだろ?」
ゔぅ…
宙音鋭い。
つか、でもあれケンカじゃなくね?
俺なんも悪くねェし。
「ケンカじゃねぇんだけどさ…」
「じゃぁ、何だよ?」
「…」
俺はさっきの出来事を宙音と謡にすべて話した。
「…それは…奏楽が…悪い…」
…は?!
今なんと?
「うん、それは絶対奏楽が悪いだろぅー。」
おいおいっ!
なんだよ、2人とも!
俺の味方と思ってたのにさ…
「なんで俺が悪いんだよ?!」
「はぁ…お前は乙女心が分かってなさすぎ!」
…なっ!
どいつも、こいつもため息ばっかつきやがって!