Beats! ~美歌と奏楽の恋物語~
「ゎ、分かりました。
私、歌うっ!」

多分このまま粘ってても歌わされるんだろう…
大分この部活の空気が読めるようになってきた。

「おーーーーっ!!!!」

パチパチパチパチ…

皆拍手してくれてるけど、
かえって歌いにくい~っ
緊張してきた…

「で、なんの曲を歌ったら…」

「ん~
あ、初めてあった時に
屋上で歌ってた曲歌ってくれよ!」

あ…あの曲かぁ…。
でも、あの曲、作曲したやつだし、
皆知らないと思うんだよね…

「作曲したやつ…だから、
皆知らないと思うよ?」

「いいからいいから♪
せーのーでっ!」

宙音くんが私を急かす。
そんな急かさなくても、ちゃんと歌うのに。

「じゃ、じゃぁいきます…」

「どーぞっ!」

すっ

私は空気を思いっきり吸った。

「〜♪〜♪♪〜♭〜…」

この曲は私が中学生になる前に、
中学生になったらどうなるのかな…って言う気持ちで作った曲。
私の、初めて作った曲だったんだ。

「〜♪〜………。」

歌い終わると、
4人とも目をキラキラさせながら、
満足そうに笑って、拍手してくれてた。

花音ちゃんは、目からさっきよりも大玉の水が流れてて、
宙音くんも、目が少しウルウルしてるのがわかった。
普段感情を顔に出さない謡くんも、少し目を細くして、微笑んでいるように見えた。
翡翠くんは…

“ぎゅっ”

ん?

ぎゃーーーーー!!
ひ、ひひひひ翡翠くんの顔が…どアップ!?

翡翠くんは私に抱きついてきた。

「ほんっと、美歌って…天使だっ!
美歌なら…絶対歌手なれるって!
俺達と、絶対、絶対芸能界行こうなっ!」

翡翠くん…

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