Beats! ~美歌と奏楽の恋物語~
「は?
んなことねェって。
超がつくほど美しい歌って感じだったし。」
「ぃぇぃぇ…。
私は、歌うのが好きで…
でも、歌に自信が無いから…だから、ここみたいな人気のない場所で…
いっつも、歌ってるんです…。
歌手に…なりたいんですけど…
無理ですよね、私みたいな人がなれるわけないです…。」
もったいねぇ。
絶対歌手、なれると思うけどなぁ。
「そーだっ!
俺、バンドしてんだけどさ、
えーっと…日和…ぃゃ、美歌…ぃゃ、美歌ちゃん…?」
ん~。
なんて呼んだらいいんだろう?
「あ、美歌…でいいですよ?」
「おぅッ
じゃぁ…美歌も、俺のやってるバンドに入らねェ?」
丁度ボーカル探してたわけだし。
つか、美歌にボーカルしてほしい!
「バンド…ですか。
でも、わ、私、演奏…苦手なんです…。」
「いや、楽器じゃなくて、ボーカルしてほしいんだ。
うちのバンド、ボーカルいなくってさ。」
「え…でも、私…ぁの…人前で歌ったりするのは…」
あー確かに、人前で…とか、苦手そう。
俺は別に平気だけど。
緊張とかしないタイプ。
「でも歌手になりてぇんだろ?
じゃぁ人馴れしといた方がいいし。
つか、マジでお願いッ!
入ってくれ、頼む!」
俺は珍しく頭を下げた。
「で、でも…」
美歌は戸惑ってる様子。
そりゃ急に言われてもだよな。
「歌手になりたいんなら、俺、お前のこと応援するから!
つーか、俺達で芸能界デビュー目指そうぜっ!?」
「芸能界デビュー…」
そう言って、美歌は少し黙った。