Beats! ~美歌と奏楽の恋物語~
「誰?!誰?!
教えてよーッ」
「…」
花音ちゃんは少し黙って、
口を開いた。
「…美香ちゃんの好きな人、
教えてくれたら、教えるよっ♪」
えーっ!!
そんなぁ…
花音ちゃんに言うなんて
恥ずかしいよぉ…
あ、でも、
花音ちゃんに言ったら、
協力して貰えるかもしれない。
「…協力、してくれる?」
「ぅ、ぅ…ん!
協力するに決まってんじゃん!
友達だもん♪」
ニコッと笑った花音ちゃん。
でも、その笑顔は…
私にはなぜか、泣いてるように見えた。
どうしてなのか…
分からないけど…
「じゃぁ、言うよ?」
「どーぞっ☆
教えて教えてっ!」
は、恥ずかしい…
人に伝えるのって、
こんなに恥ずかしいんだ…。
「美歌ちゃん!
早く早くっ!」
「…ょ、よしっ!」
言う決意をした、私。
すうっ
歌う前みたいに、
息をたっぷり吸った。
「そ、奏楽…だよっ!!」
声、裏返っちゃった。
ふと、花音ちゃんの顔を見る。
…やっぱり、どこか切なそう。
どうしてなんだろう…?
聞きたいけど、
聞いたらいけない気がする…
「…そ、そうなん…だぁっ!
奏楽の、どこがいいのかわかんないけど、
でも…
お似合いだと思うよっ♪」