Beats! ~美歌と奏楽の恋物語~
「まだしんどいか?」
心配してくれるんだね、奏楽。
…奏楽のことだから、
誰にでもこんな風に心配するんだと思うけど、
でも、
私をこんなに心配してくれてるなんて、
嬉しい。
「え、ん~ちょっとだけ…
奏楽が来てくれて…から、
ちょっとマシ。」
「じゃぁ俺が、
美歌の熱…半分貰ってやろうか?」
「クスクスっ…
そんなの出来るわけないよ。」
私はクスクスと笑った。
私が笑っても、
奏楽は真剣な顔のまんま。
…いつもなら、つられて笑ってるのに。
「出来るんだよ…」
そう言って、
近づいてきた奏楽。
気がつくと、
目をつむった、奏楽のどアップ。
唇には、柔らかい感触。
…何がどうなってるの?
私は、今がどういう状況なのか、
全く把握出来ていない。
なんなの?
これは…
私の唇からは、
その、柔らかいものが離れていって…
同時に、奏楽の顔も離れていって…
奏楽の顔を見ると…
奏楽の顔は、
タコみたいに耳まで真っ赤で…
…ほん…とに…何?
これ…。
これって…
これってさ…
キス、じゃないの…?
私にとっての、
ファーストキス…。
奏楽との…
大好きな人とした…
キス…。
キス、されたんだよ…?
好きな人に。