Beats! ~美歌と奏楽の恋物語~
ガラッ
「おーーっすっ!!
奏楽!花音!」
「ぉす…」
教室のドアを開けると、そこには宙音と謡がいた。
「はよ~っす」
「おはよう~♪
ぁ、2人ともっ!
さっき奏楽から聞いたんだけどさ、
ボーカルしてくれるかもしれないって子、見つかったんだって!」
「まぢかよっ!?」
宙音は机をドンッとたたいて、目を丸くしている。
まぁ謡はいつも通りリアクション薄いけど。
「誰?!
どんなヤツ?!」
ずいっと顔を俺に近づける宙歌。
まったく、少しは落ち着けよなぁ。
「日和美歌っていうヤツなんだけど…知ってる?」
「全ッ然知らねぇ~」
だろうな。
あいつ目立つタイプじゃねぇし。
つか、俺も何組か知らね。
上靴の色が緑だったから学年は俺らと一緒なのは分かったけど…
「日和美歌ちゃん?!
知ってるよ、あたし。
なんだ~
奏楽の言ってた“みか”って、
日和美歌ちゃんのことだったんだ~っ!」
うんうん…と1人でうなずく花音。
って、おいっ!
「知ってたのかよっ?!」
「うん。
だって同じクラスだし。」
「ぉ、同じクラスーーーっ?!」
驚いた。
まったく知らなかった。
つーか…あいつ絶対気配消してるだろ。
同じ教室に居るのに気づかなかったって…
「知らなかったの?!
ほら、あそこに座ってるじゃん。」
そういって花音が指差した先は…
俺の席の後ろっ?!
まぢかよ…
さらにびっくり…。
こんだけ影薄いのも、いろんな意味ですごいと思う。
美歌は1人で静かに本を読んでいる。
友達、作らねぇのかな…。
苦手なのかもな。
話したりするのとか。
「おっす、美歌!」
俺は美歌に声をかけた。