Beats! ~美歌と奏楽の恋物語~
「でも俺達演奏も何もしてねぇけど…」
「そんなの外見を見れば分かるさ。
君達が上手いか下手かなんてねぇ~」
自信満々にそう言って見せる小松プロデューサー。
…さすがだな、プロデューサーってやっぱすげぇ。
「君達はデビューさせてあげるよ♪
ただし、そこの前髪くくった小ちゃい男の子…君はダメだ。」
…はぁ?
「な、なんで俺だけ…!」
「その通りだ!
なんで宙音だけダメなんだよ!」
意味分かんねえよこのおっさん。
宙音のどこがいけねぇっつんだ?!
「なんでって言われてもねぇー?
だって、そんな小ちゃい体でドラムなんてできるわけないだろう?」
…何いってんだよ。
前言撤回だ!
このおっさん見た目で宙音のこと勘違いしてる!
「できる!
宙音は最高のドラマーだ!」
「そ、奏楽…」
「…なるほどねぇー
宙音無しであたし達だけデビュー?
冗談じゃないわ。
そんなことならデビューなんてしなくていい。
あたし達のバンドは誰がかけてもダメなの!
宙音がいないバンドなんて…あたし達のバンドじゃない!」
花音はそう言った。
俺が言おうとしたことを花音が言った。
いや、言おうとしてたのは俺だけじゃない。
きっとみんな言おうとしてたと思う。
“ 宙音が居なきゃ、ダメだ ”って。
「ブラボー☆
素晴らしい友情だねぇ。
ぉkぉk。
そこまで言うなら皆でデビューさせたげるさ♪
仕方ないなぁー。」
ふざけてんのか?
このおっさん。
今すぐ殴りたい…
俺は拳を握り締めたが、殴るのは止めた。
殴ったところでこのおっさんは、“ 痛いなぁーなにするんだい? ”
とか言うだけだって、予想できたから。
「君達はデビューさせるさ。
でもこっちにも条件がある。」
「…条件?」
一々面倒くせえ奴だな。
なんだよ、条件って。